この記事でわかること
- GA4の基本概念と導入すべき理由
- 従来のユニバーサルアナリティクス(UA)との決定的な違い
- 初心者でも失敗しない導入・設定手順
- 現場で使える基本的なレポートの見方と活用術
1. 導入:なぜ今、GA4が必要なのか
2026年現在、Webサイトやアプリの分析においてGA4(Googleアナリティクス4)はデファクトスタンダードとなっています。かつて主流だったユニバーサルアナリティクス(UA)は2023年7月に計測を停止し、現在は完全に利用できなくなっています。
企業の8割以上がすでにGA4への移行を完了しており、デジタルマーケティングを行う上でGA4の習得は避けて通れません。しかし、「画面が変わりすぎて使い方がわからない」「設定が複雑で難しい」という声も多く聞かれます。
本記事では、初心者の方でもGA4を体系的に理解し、明日から実務で活用できるよう、基礎から応用までを網羅的に解説します。この記事一つでGA4の全体像を把握し、自信を持って運用できるようになることを目指しています。
目次
- 2. GA4(Googleアナリティクス4)とは?
- 3. UA(ユニバーサルアナリティクス)との違い
- 4. GA4の主な機能と特徴
- 5. GA4を導入するメリット
- 6. GA4のデメリットと注意点
- 7. GA4画面の見方
- 8. GA4で最低限知っておきたい用語
- 9. GA4の導入・設定方法
- 10. GA4の基本的な使い方(標準レポート)
- 11. GA4でさらに詳しく分析する方法
- 12. GA4を社内でスムーズに運用するコツ
- 13. GA4のよくある質問(FAQ)
- 14. まとめ
2. GA4(Googleアナリティクス4)とは?
GA4(Google Analytics 4)とは、Googleが提供する最新世代のアクセス解析ツールです。2020年10月に正式リリースされ、Webサイトだけでなくアプリの計測も統合的に行えるプラットフォームとして設計されました。
GA4の定義と概要
GA4は、ユーザーの「行動(イベント)」を軸にデータ収集を行う解析ツールです。従来の「ページ」を軸とした計測から、「ユーザーが何をしたか」に焦点を当てた計測へと根本的な思想が転換されています。
GA4でできること
GA4を導入することで、主に以下の3つの視点からデータを分析できます。
- どんな人が(User):年齢、性別、地域、使用デバイス、興味関心など
- どこから来て(Acquisition):Google検索、SNS、広告、直接入力など
- どんな行動をとったか(Engagement):ページの閲覧、スクロール、動画再生、ファイルダウンロード、購入、問い合わせなど
なぜGA4が必要なのか
現代のユーザーは、PCで商品を調べ、スマホアプリで購入するなど、複数のデバイスやプラットフォームを横断して行動します。また、プライバシー保護の観点からCookie(クッキー)の利用制限も厳しくなっています。
こうした「ユーザー行動の複雑化」と「プライバシー規制の強化」に対応するために開発されたのがGA4です。これからのWebマーケティングにおいて、正確な現状把握と効果測定を行うためには必須のツールと言えます。
3. UA(ユニバーサルアナリティクス)との違い
従来のUAとGA4は、単なるバージョンアップではなく、全く異なるツールと言っても過言ではありません。主な5つの違いを解説します。
| 比較項目 | UA(旧版) | GA4(最新版) |
|---|---|---|
| 計測の軸 | セッション(訪問)単位 | イベント(行動)単位 |
| 計測対象 | Webサイト中心 | Webサイトとアプリを統合 |
| 主要指標 | 直帰率、ページビュー数 | エンゲージメント率、表示回数 |
| データ構造 | ビュー | データストリーム |
| 分析機能 | 過去データの集計がメイン | 機械学習による予測が可能 |
1. Webとアプリをまたがった計測
UAではWebサイトとアプリは別々のプロパティで管理していましたが、GA4では「データストリーム」という概念により、Webとアプリのデータを1つのプロパティで統合して計測・分析できるようになりました。
2. 「セッション」から「イベント」へ
UAは「ページビュー(PV)」を重視し、1回の訪問(セッション)内でどのページを見たかを計測していました。一方、GA4はすべてのユーザー行動を「イベント」として計測します。ページ閲覧も「page_view」という一つのイベントとして扱われます。
3. 「エンゲージメント」を重視
GA4では「直帰率」の概念が変わり(※現在は指標として復活していますが定義が異なります)、「エンゲージメント」が重視されるようになりました。エンゲージメントとは、「10秒以上の滞在」「コンバージョン発生」「2ページ以上の閲覧」など、サイトに興味を持って積極的に関与した状態を指します。
4. 「ビュー」から「データストリーム」へ
UAにあった「ビュー」機能(データをフィルタリングして保存する機能)は廃止されました。GA4では、生データをプロパティに集約し、フィルタリングはレポート側で行う設計になっています。
5. 機械学習・ビッグデータ分析の強化
GA4にはGoogleの機械学習モデルが組み込まれており、購入確率の予測や、欠損データの補完などが可能になりました。また、以前は有料版(GA360)のみの機能だった「BigQuery」へのデータエクスポートが、無料版でも利用可能になっています。
4. GA4の主な機能と特徴
イベントベースの計測
クリック、スクロール、動画再生、ファイルダウンロードなど、ページ遷移を伴わない行動も標準で自動計測できるようになりました(拡張計測機能)。これにより、詳細な設定なしでもユーザーの細かい動きを把握できます。
クロスプラットフォーム分析
Googleシグナル(Googleアカウントのログインデータ)などを活用し、PCで閲覧してスマホで購入したユーザーを「同一人物」として認識する精度が向上しています。
機械学習による予測機能
過去のデータを元に、「7日以内に購入する可能性が高いユーザー」や「離脱する可能性が高いユーザー」を予測するオーディエンス機能が搭載されています。これにより、将来の収益を見込んだ広告配信などが可能になります。
プライバシー重視の設計
GDPR(EU一般データ保護規則)やCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)などの世界的なプライバシー規制に対応。Cookieに依存しない計測や、データ保持期間の制限、IPアドレスの匿名化(デフォルト)などが実装されています。
BigQueryとの無料連携
GA4の生データをGoogleのデータウェアハウス「BigQuery」へエクスポートできます。SQLを使った高度な分析や、自社の顧客データ(CRM)との統合分析が可能になり、データ活用の幅が大きく広がりました。
5. GA4を導入するメリット
GA4導入の主なメリット一覧
- ユーザー行動の深い理解:ページ遷移だけでなく、動画視聴やスクロールなど具体的な行動が見える。
- 予測分析の活用:「購入しそうな人」を予測し、効率的に広告を配信できる。
- プライバシー対応:法規制に対応しつつ、欠損データをAIで補完できる。
- コスト削減:高度な分析基盤(BigQuery)が無料で使える。
- 将来性:Googleが開発リソースを集中しており、新機能が続々追加される。
最大のメリットは、「ユーザーの実態に即した分析ができる」点です。単に「何回見られたか」ではなく、「どのくらい深く関心を持たれたか」を可視化できるため、コンテンツの質やUX(ユーザー体験)の改善に直結します。
6. GA4のデメリットと注意点
学習コストが高い
UAとは画面構成や用語が大きく異なるため、習得には時間がかかります。特に「探索レポート」などの高度な機能は、ある程度の知識と慣れが必要です。
UAとデータが合わない
計測の仕組み(定義)が異なるため、UA時代のデータと単純比較すると数値がズレます。例えば「セッション数」の定義も微妙に異なります。経年変化を見る際は注意が必要です。
レポートのカスタマイズが必要
標準レポートはUAに比べてシンプルになっており、詳細なデータを見るには自分でレポートを作成(カスタマイズ)する必要があります。「見たいデータがすぐに出てこない」と感じる要因の一つです。
データ保持期間の制限
GA4の「探索レポート」で使用できるデータの保持期間は、デフォルトで2ヶ月になっています。設定変更で最大14ヶ月まで延長できますが、UAのように「無期限」ではありません。長期データの保存にはBigQueryへのエクスポートが必須です。
7. GA4画面の見方
GA4の管理画面は、左側のメニューバーから主要な機能にアクセスします。
- ホーム:サイトの現在の状況(リアルタイム含む)、最近のトレンド、AIによる洞察が表示されます。
- レポート:「ユーザー」「集客」「エンゲージメント」など、基本的な集計データを確認する場所です。定点観測に向いています。
- 探索:自由な形式でグラフや表を作成し、詳細な分析を行う場所です。クロス集計や経路分析などが可能です。
- 広告:コンバージョン経路やアトリビューション(広告貢献度)分析に特化したレポートです。
- 管理(歯車アイコン):プロパティの設定、ユーザー管理、イベント設定などを行う場所です。
8. GA4で最低限知っておきたい用語
GA4を使いこなすための必須用語を解説します。指標(Metric)「数」や「量」を表すデータです。例:ユーザー数、表示回数、イベント数、収益など。ディメンション(Dimension)「属性」や「切り口」を表すデータです。例:ページタイトル、デバイスカテゴリ、市区町村、参照元など。イベント(Event)ユーザーの行動そのものです。「page_view(ページ閲覧)」「click(クリック)」「scroll(スクロール)」などがあります。パラメータ(Parameter)イベントに付随する詳細情報です。例えば「file_download」というイベントに対し、「どんなファイル名か(file_name)」という情報がパラメータになります。キーイベント(旧:コンバージョン)ビジネス上の目標となる重要なアクションです。問い合わせ完了、購入完了などを設定します。2024年に「コンバージョン」という名称から「キーイベント」に変更されました。セッションとエンゲージメント「セッション」は訪問の回数。「エンゲージメント」は、その訪問が有意義だったか(10秒以上滞在など)を示す質的な指標です。
9. GA4の導入・設定方法
これからGA4を導入する手順をステップ形式で解説します。
STEP 1:GA4プロパティの作成
- Googleアナリティクスの管理画面にログインします。
- 画面左下の「管理(歯車アイコン)」をクリックします。
- 「プロパティを作成」をクリックし、プロパティ名(サイト名など)、レポートのタイムゾーン(日本)、通貨(日本円)を設定します。
STEP 2:データストリームの設定
- プラットフォームで「ウェブ」を選択します。
- 計測したいウェブサイトのURLとストリーム名を入力し、「ストリームを作成」をクリックします。
- 「測定ID(G-XXXXXXXXXX)」が発行されます。これが計測に必要なIDです。
STEP 3:GA4タグの設置方法
発行された測定IDを使って、Webサイトにタグを設置します。主な方法は2つあります。
- Googleタグマネージャー(GTM)を使う(推奨):GTMで「Googleアナリティクス: GA4設定」タグを作成し、測定IDを入力して全ページで発火させます。
- 直接HTMLに記述する:グローバルサイトタグ(gtag.js)をコピーし、サイトの
<head>内に貼り付けます。
STEP 4:初期設定(必須)
導入直後に必ずやっておくべき設定があります。
- データ保持期間の延長:「管理」→「データの収集と修正」→「データの保持」で、イベントデータの保持期間を「2か月」から「14か月」に変更します。
- Googleシグナルの有効化:「データの収集」からGoogleシグナルをオンにすると、クロスデバイス計測が可能になります。
- 関係者のIP除外:社内からのアクセスを計測しないよう、「内部トラフィックの定義」でIPアドレスを除外設定します。
STEP 5:キーイベント(コンバージョン)設定
問い合わせ完了ページ(サンクスページ)への到達などをキーイベントとして登録します。GA4では、「イベントを作成」機能で特定の条件(例:page_location が thanks.html を含む)を満たすイベントを作成し、それを「キーイベントとしてマーク」します。
10. GA4の基本的な使い方(標準レポート)
日々の運用でよく使う「レポート」メニューの見方を解説します。
ユーザー:どんな人が来てる?
- ユーザー属性:訪問者の年齢層、性別、インタレスト(興味関心)などを確認できます。ターゲット層と実際の来訪者にズレがないかチェックします。
- テクノロジー:スマホとPCの比率、使用ブラウザ(Chrome, Safari等)、OSなどを確認します。スマホ比率が高ければ、スマホサイトのUI改善を優先すべきという判断ができます。
集客:どこからサイトに来た?
- トラフィック獲得:「セッション(訪問)」がどこから始まったかを確認します。「Organic Search(自然検索)」「Referral(他サイトからのリンク)」「Social(SNS)」などのチャネルごとの流入数が分かります。
- ユーザー獲得:「新規ユーザー」が最初にどこから来たかを確認します。認知拡大施策の効果測定に使います。
エンゲージメント:どんな行動を取った?
- ページとスクリーン:どのページが多く見られているか(表示回数)、どのページが長く見られているか(平均エンゲージメント時間)を確認します。UAの「すべてのページ」に相当します。
- イベント:click、scroll、file_downloadなど、具体的なアクションの発生回数を確認します。
11. GA4でさらに詳しく分析する方法
標準レポートだけでは物足りない場合、以下のツールや機能を活用します。
探索レポートの活用
「自由形式」「ファネルデータ探索」「経路データ探索」などのテンプレートを使い、ドラッグ&ドロップで独自の分析レポートを作成できます。例えば、「LP(ランディングページ)から問い合わせ完了までの離脱箇所を特定する」といった分析はファネル探索が最適です。
Looker Studio(旧データポータル)との連携
Googleが提供する無料のBIツールです。GA4のデータを読み込み、見やすいグラフや表でダッシュボード化できます。社内報告用のレポートを自動更新したい場合に非常に便利です。
Googleサーチコンソールとの連携
「管理」メニューから連携設定を行うことで、GA4のレポート内で「どんな検索キーワードでサイトに来たか」を確認できるようになります。SEO分析には必須の設定です。
ヒートマップツールとの併用
GA4は「数値」の分析は得意ですが、「ページのどこが熟読されているか」までは分かりません。Microsoft Clarity(無料)やUser Heatなどのヒートマップツールと併用することで、定量的・定性的な分析の両方が可能になります。
12. GA4を社内でスムーズに運用するコツ
運用体制の構築
「誰が」「いつ」「何を見るか」を決めましょう。例えば、Web担当者は毎日「ホーム」を確認し、マーケティング責任者は週次で「Looker Studioのダッシュボード」を確認するなど、役割に応じた運用ルールを作ります。
関係者へのレクチャー
GA4は直感的に理解しにくいため、社内勉強会を開くか、マニュアルを整備することをお勧めします。「この数字だけ見ればOK」という最低限のポイントを共有するだけでも、データ活用のハードルは下がります。
困ったときのサポート
Google公式のヘルプコミュニティや、GA4の解説ブログ、YouTube動画などが充実しています。エラーが出た場合は、表示されるエラーメッセージをそのまま検索すると解決策が見つかることが多いです。
13. GA4のよくある質問(FAQ)
Q. GA4は無料で使えますか?
A. はい、基本機能はすべて無料で利用できます。大規模サイト向けの有料版(GA4 360)もありますが、中小規模のサイトであれば無料版で十分です。
Q. UAの過去データはGA4で見れますか?
A. いいえ、見られません。GA4はUAとは別のデータベースを持っています。UAの過去データが必要な場合は、事前にエクスポートして保存しておく必要があります。
Q. 複数サイトを管理するにはどうすればいいですか?
A. 1つのGoogleアカウントで複数のプロパティを作成できます。サイトごとにプロパティを分けて管理するのが基本です。
Q. データが「0」のままで計測されません。
A. タグの設置ミス、測定IDの間違い、除外フィルターの設定ミスなどが考えられます。また、導入直後はデータ反映まで24時間程度かかる場合があります。
Q. コンバージョンの設定方法が変わったと聞きましたが?
A. はい。2024年より「コンバージョン」という用語が「キーイベント」に変更されました。設定方法は「イベント」→「キーイベントとしてマーク」をオンにするだけです。
Q. セグメントを使って分析したいです。
A. 標準レポートでは「比較」機能を使います。より複雑なセグメント(例:スマホで訪問し、かつ東京都在住のユーザー)は「探索レポート」で作成します。
Q. レポートをExcelやCSVでダウンロードできますか?
A. はい。各レポート画面の右上にある「共有」アイコンから「ファイルをダウンロード」を選択することで、CSVやPDF形式で出力可能です。
14. まとめ
GA4は、ユーザーの行動をより深く、正確に理解するための強力なツールです。導入のポイントを整理します。
- 計測軸は「イベント」。ユーザーが何をしたかを細かく分析できます。
- 初期設定が重要。「データ保持期間14ヶ月」への変更は忘れずに行いましょう。
- 習うより慣れろ。まずは標準レポートの「ユーザー」「集客」「エンゲージメント」を見ることから始めましょう。
GA4を使いこなすことで、Webサイトの課題が明確になり、効果的な改善施策が打てるようになります。まずはプロパティを作成し、タグを設置するところからスタートしてみてください。
設定に不安がある方へ
GA4の初期設定やGTMでのタグ設置、Looker Studioでのレポート作成などは、専門的な知識が必要な場合があります。自社での対応が難しい場合は、専門の設定代行サービスやコンサルタントへの依頼も検討することをお勧めします。


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